4日目:奇跡のような遭遇と、感謝の一日。

旅ログ / 2019.02.15

ようやく始動のアイラ島滞在3日目は、当然蒸留所巡りである。

 

ホテルの朝食、今朝はバイキングじゃなかった。何故?
オーダー形式でスクランブルエッグとベーコンを頂いた。昨日の今日でこんなに変わるなんて。平日になると、ゲストが減って、対応が変わるのだろうか。

さて。
相変わらず、イギリスっぽい鈍色の空。雲も多いし雨が降りそうだなーと思いながら、ホテルをチェックアウトし、Bowmore町へ。

昨日、「1泊だけならと」インフォメーションに紹介してもらっていたB&Bに荷物を移す。真っ白な髪がとても素敵なおばあちゃまが笑顔で迎え入れてくれた。

部屋はベッドが2つに洗面台、珈琲紅茶がたくさん用意されていて、グラスには花が2輪。とても快適そうだった。

 

準備を終えたら急ぎラガヴーリンへ向かう。あやふやな記憶だが、歩いて行ったと思う。ツアーの時間はインフォメーションで把握していたので、早めに行って、まだ開いていないのか?と疑いたくなるような入り口をノック。

 

少し待ってツアーが始まった。私たちとプラスひとりかふたりくらいだったかの小人数で、受付をしてくれた、ラガブーリンの箱のような色のポロシャツを着た大きな女性がガイドをしてくれた。

行ったことがないのに、一部の菌がとても近いのではと自信満々に断言してしまえるほど、醤油工場の匂いってこんな感じなんじゃないかと思った。

 

床にめり込んでいるような大きなたるの中で、静かに泡立っている、ラガヴーリンの赤ちゃんを味見させてもらうと、温かくて、ビールのようだった。

 

私たちが理解しているかどうかは気にせず、どんどん英語で説明を続ける姿は助かった。ただでさえ、堪能とは言い難い有り様なのに、スコットランドの英語は、本当によく分からない。

この後、他の蒸留所にも行ってよーくわかったのだが、ここは、小規模で本当に素敵な蒸留所だった。ツアー終わりに頂いた試飲は16年。

大好き。

 

良い気分で次へと向かいたいところで雨である。

予定を変更して…と思ったが裏目に出て、バスを逃してしまった。
ラフロイグ蒸留所までの道をとぼとぼと雨の中歩くいていくしかなくて、仕方ないから、なるべく急ごうという感じでいたと思う。

 

車が通る度ヒッチハイクを試みる。若い女二人、お願いだから乗せておくれよと思いながら、無情にも素通りされてばかり。

しかし、救いの手は必ず差し伸べられるもので、止まってくれた車の運転手さんは、その地点から蒸留所まで行く道の途中に家があるという優しい女性。

私たちを蒸留所で降ろして、来た道を戻って行かれた。

車に乗っている間に、水が窓まではねるほど、雨はどんどん強くなり、拾っていただかなかったらどうなっていたんだろうと考えてしまった。

まだ今日はあちこち行くつもりなのに、どうしようかなぁと。

とにかく、心からの感謝の意を二人して伝え、ラフロイグ蒸留所に到着。

 

 

蒸留所の脇を流れる仕込み水と思われる水が、ものすごくピートを含んだ色をしていることに感動。もうテンションはかなりのところまで上昇している。

 

ヴィジターセンターで、次のツアーを予約し、とても素敵なラウンジで開始時間を待つ。どんどん参加客が増えていく。不思議とスポーティな恰好のスウェーデン人が多く、後から聞いたところ、自転車でヨーロッパを回っていて、フェリーで渡ってきたそう。ヨーロッパは本当に自転車が盛んだ。

いろんな人がいるなと思いながら顔ぶれを見ていると、ひとり、見覚えのある姿が。

‥‥‥‥じーーっと私が見ているのに気付いたのか目が合った。

その女性もこちらを凝視している。あ!となったのはどちらからだったかはっきり覚えていないけれど、たぶん私からだったのではないか。
それは、グラスゴー空港から市街へのバスの中で言葉を交わした日本人のお姉さんだった。
降りる場所は違ったし、そのまま翌日アイラ島へ渡って、そして、3日目にして初めての本格的な観光を始めた、アイラ島にはこのとき蒸留所は7つ。

そんなタイミングその他諸々を考えても、再会するのは奇跡のようではないか!お互い、蒸留所が目的であるようなそぶり(どんなだ、それ)もなかったし、お互いの目的をここにきて確認しあって当然盛り上がった。

彼女は、外資系の会社で働いていて語学も堪能。レンタカーでフェリーに乗って島に渡ってきたそうだ。

そして、ラガヴーリンとはうって変わっての大人数ツアーが始まった。

フロアモルティングから見学できるなんて、今思うとすごいことだ。麦を頂けるというので、少し頂いたが、1年近くピート香が楽しめた。

蒸留前のエキスもしっかり味見。ポットスチルもそれぞれなんだなぁと思いながら、理解はできないが、説明に耳を傾ける。

最後に、試飲させてもらったのは、クォーターカスク。

確か、新しいモルトを紹介、ということで頂いたような記憶があるので、ちょうどリリースされる年だったのかも。

ゲール語の乾杯は「スランジバー」だと教えてもらい、みんなで乾杯。
談笑していると、スウェーデンでは「スコールだ」、日本では「カンパイだ」フランスでは、スペインでは、と知る限りの乾杯が飛び交い都度グラスを重ねる楽しいときを過ごした。

お姉さんが、ガイドさんからプレゼントをもらっていて驚いたのだが、

ラフロイグは、ラフロイグフレンドというコミュニティがあり、買ったお酒のバーコードをオフィシャルサイトに入力して登録、そこからツアー予約をすると、プレゼントがもらえる(現在やっているか分からないが当時はそうだった)ということで、それが、250mlの10年のボトルだった。

蒸留所で渡されるそこのボトルなんて、何のストレスもかかっていない完ぺきな一本ではないか、なんともうらやましい。当然、帰国してすぐに登録した。

今でも、クリスマスや誕生日、ニューリリースなど、様々なタイミングでメールが届く。そのたびに、あの時のことをぼんやりと思い出すのだ。

さて、その後はどうしようか、雨はやんでいる。

アードベグに行こうと考えていると、お姉さんが車で連れて行ってくれるという。なんて嬉しいの!そんな申し訳ないです!とかはもう、この際出てこなかったのをよく覚えている。

ところで、よく考えたら日本ではありえない、車に試飲後に乗るという話、ヨーロッパでは全然あるので、運転の際も道を歩く際も十分に気を付けよう。

 

そんなこんなでアードベッグに到着。
ところが、ツアーの時間が全然合わない。参加できそうな時間がなくて、併設のとても素敵な、蔵のようなカフェでお茶をして(私はこの旅中一番美味しかった-ニンニクの効いたマッシュルームと玉ねぎのスープ-をここで頂いた)、アードベッグは次に来た時のお楽しみとすることにした。

 

もう一度来ればいい、そう考えるのはとても幸せなことで、この時は、少なくとも2,3年以内にふたりで実行に移す気満々だった。あれからあっという間に十年以上の時が流れてしまった。お姉さんは、もうきっと訪れていることだろう。

 

そのあと、お姉さんは、なんとBowmore町まで私たちを送ってくれた。昨日も食事をしたLOCHSID HOTELで夕食代わりの軽食(かぼちゃのスープ)を3人で楽しんだ。

アードベッグのカフェで、送っていただいたお礼にごちそうできてほっとしていたのに、ここでは先を越されてしまった。

それではお礼にならないではないか!と焦りながらも「ひとりより楽しかったから」との言葉に救われる。

本当に、ありがとうございました。

 

確か岡山の方だったように思う。あれ以来お会いする機会はないが、今頃日本にいらっしゃるような気がしない。もっと広い世界へ飛び出していそうだ。


備忘録
Lamoech Guest House Jamicn street  £22/1人
Lagavulin tour £4
 マグカップ  £4.20
  テイスティングノート £7
Laphroaig - ツーアはなんと Free!
  葉書 £0.5
Ardbeg カフェ £4.25 ※割り勘した分

 

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